旅館の設計事務所で働いていた駆け出しの頃、師匠に見ておけ!と渡された村野藤吾の和室のスケッチ。
その実物に接してただただ感心するばかり、そして運営はプリンスホテルではあるが旅館の模範生とも言えるこの建物は30年を経て深みを増しこれぞ旅館と言える佇まい。

極限まで突き詰めた繊細なディティール(組子の幅が実測すると2厘※0.6㎜違っていたり!)、地形に逆らわず建物を巧みに馴染ませる配置、各客室のプライベート感etc・・・

昨今の流行に乗った高単価旅館には決して真似の出来ない本質がここには宿っている様な気がした。

この年齢になったからかもしれないが、語れきれない魅力は行ってみるとよく理解出来る。25年前にそんな指導をして下さった師匠に感謝したい。